九州電力苅田発電所の建設について
会社設立後の当面の業務は、九州電力苅田発電所建設工事の施工体制の確立であった。九州電力㈱から建物約30坪の払い下げを受けて、昭和29年8月に苅田事務所を開設した。石橋常務(後の第2代社長)が所長を、古賀取締役(後の第4代社長)・末取締役が事務部長及び技術部長を委嘱されて、常勤役員全員が現地事務所で陣頭指揮に当たる体制を敷いた。
また、庶務・経理・電気・汽機・汽缶の5課長を発令し、九州電力㈱の強いバックアップを得て、三菱造船㈱〔現三菱重工業㈱〕長崎造船所、新三菱重工㈱〔現三菱重工業㈱〕神戸造船所などから技術者の派遣を受け、建設工事を施工した。
建設工事は30年3月、汽缶のドラム揚げ工事に始まり、31年3月の営業運転開始まで、延べ388日の実績工期をもって完了した。この九州電力苅田発電所1号機建設工事を通じて、当社は技術面・工事管理面をはじめ、労務・経理関係など多くの点について貴重な経験を積み、最新の火力発電技術を習得し今日の基礎を築くことができた。そして、わが国の火力発電技術レベルを世界水準に向上させることに大きく貢献したのである。